初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 意思表示 1-4 平成17年

AからBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。この場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、錯誤が、売却の意志表示の内容の重要な部分に関するものであり、法律行為の要素の錯誤と認められる場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。
2、錯誤が売却の意志表示をなすについての動機に関するものであり、それを当該意思表示の内容としてAがBに対して表示した場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。
3、錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意志表示者であるAに重過失がある時は、Aは自らその無効を主張することができない。
4、錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意志表示者であるAがその錯誤を認めていない時は、Bはこの売却の意思表示の無効を主張できる。



建太郎「なんだこの読みにくい日本語は?もうちょっとわかりやすく書けよ」
胡桃「あえて分かりにくい日本語を使うことで問題文を読解する時間を浪費させるような出題もあるのよ。宅建は、短時間でたくさんの問題を解かなければならないから、分かりにくかったらとりあえず、飛ばして、後回しにするのも一つの手ね」
建太郎「でもそれやったらさあ。マークシートの塗りつぶしがずれて、後で悲惨なことにならない?」
胡桃「マークシートの答えがずれていたという話は、よく聞く悲劇よね。そうならないように、建太郎は気を付けるのよ」
建太郎「もちろんさ」
胡桃「ところで、この問題の答えは、即答できるわよね?まどろっこしい日本語でも、問う内容は条文レベルよ」
建太郎「ええっと……。錯誤についてストレートに問う問題だというのは分かるよ」


(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

胡桃「じゃあ、1から見ていこうか。これは?」
建太郎「何を問いたいのか、意味不明の出題だな。条文通りじゃないか」
胡桃「そうね。出題者の意図が読み取りにくいけど、錯誤の場合は無効なのか、取消なのかを問いたいのかもしれないわね。第九十五条にある通り、錯誤無効は無効だけど、ちょっと変わった無効だったわね。無効と言ったら、一般的にどういう結果になるか分かるわよね?」
建太郎「取消みたいに、取り消されるまでは有効だということにはならない。無効の行為は初めから無効だったことだよね」
胡桃「そうね。だから、無効な行為は、追認によっても、その効力を生じないし、誰でも無効を主張できる。この点はOKね?」

(無効な行為の追認)
第百十九条  無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

建太郎「うん。わかるよ」
胡桃「ところで、錯誤無効は、誰でも主張できるわけではなかったわね?」
建太郎「あっ。表意者だけが主張できるんだったよね。つまり、錯誤無効は表意者を保護するための制度だから、表意者が無効を主張しないならば、相手方や第三者が口出しするなってことだよね」
胡桃「そうね。その特異性を一言で表せば何というかしら?」
建太郎「取消的無効」
胡桃「そうね。重要な判例だからしっかり押さえておいてね。4の正誤はその知識があれば判断できるわね」
建太郎「OK」
胡桃「ただ、相手方や第三者が全く錯誤無効を主張できないわけではなかったわね。例外があるけど分かるかしら?」
建太郎「あっ。相手方や第三者が債権を保全するために必要な場合だよね」
胡桃「そうね。尤も、債権を保全するために必要でも、前提として、表意者が錯誤に陥ったことを認めていなければならないのよ」
建太郎「いずれにしても、表意者が錯誤を認めていない時は、誰も錯誤無効を主張できないってことだね」
胡桃「そうよ。じゃあ、2はどうかしら?」
建太郎「ええっと……。たどたどしい日本語だけど、要するに動機の錯誤の問題だよね?例えば、近くに駅ができるから今から買っておけば値上がりするに違いないと思って、土地を買ったけど、その話は嘘だったという場合」
胡桃「そうね。じゃあ、表意者は、動機の錯誤を理由に錯誤無効を主張できるのかしら?」
建太郎「黙っていた場合には、錯誤無効を主張できないね。相手方にしてみれば、この土地を買いますと言って、その通りに買っただろうになんで錯誤を主張するの?訳が分からないということになるもんな。つまり、動機の錯誤は、表示されていて、相手方もそのことを知った場合に限り、錯誤無効を主張できる」
胡桃「その通りよ。重要な判例だから、しっかり押さえておいてね。最後に3は?」
建太郎「条文そのままの出題だね。『表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。』」
胡桃「本当だわね。この選択肢を見ても分かる通り。条文の文言をしっかり押さえておけば、正誤はすぐに判断できるわね。宅建試験だと条文を読まないで勉強する人もいるけど、条文はしっかり読み込むべきよ」
建太郎「胡桃がいつも言っていることだよね。『条文を読みなさい!』」
胡桃「というわけで正解はどれかしら?」
建太郎「3だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3