初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 債権譲渡 1-27 平成15年

Aは、Bに対して貸付金債権を有しており、Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1、貸付金債権に譲渡禁止特約がついている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らない時、BはCに対して債権譲渡が無効であると主張することができない。
2、Bが債権譲渡を承諾しない場合、CがBに対して債権譲渡を通知するだけでは、CはBに対して、自分が債権者であることを主張することができない。
3、Aが貸付金債権をDに対しても譲渡し、Cへは確定日付のない証書、Dへは確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に、到達した時、Bへの通知の到達の前後に関わりなく、DがCに優先して権利行使をすることができる。
4、Aが貸付金債権をEに対しても譲渡し、Cへは平成15年10月10日付、Eへは平成15年10月9日付のそれぞれ確定日付ある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後に関わらず、EがCに優先して権利行使をすることができる。


胡桃「この問題は何の問題か分かるわね?」
建太郎「債権譲渡の問題だね」
胡桃「そうね。まずは、債権譲渡の基本から再確認しておくわよ」






胡桃「まず、債権が譲渡できることは、分かるわね。例えば、私が建太郎に対してお金を貸していて貸金債権を有している場合、その債権を怖い人に譲渡することもできる」

(債権の譲渡性)
第四百六十六条  債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

建太郎「怖い人に譲渡だって?や、やめてくれ!今すぐに返すからさ」
胡桃「譲渡されたくなければ、譲渡禁止特約を結ぶこともできるけど、譲渡禁止特約を設けたとしても、善意の第三者に対しては、対抗することができない。怖い人が譲渡禁止特約について、善意で譲り受けた場合は、債権譲渡は有効だということね」
建太郎「善意であるだけで、足りるのか?」
胡桃「条文では善意としか書かれていないけど、判例によると、善意、無重過失とされているわね。まあ、通常、債権証書をチェックすれば、債権譲渡が禁止されているかどうかは、分かるわ。そのチェックを怠った人まで、保護する必要はないということでしょうね。そのことが分かれば、1の正誤は判断できるわね」
建太郎「OK」
胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「債権譲渡の通知は、旧債権者からしかできないということだよね。新債権者からの通知ではだめだと」

(指名債権の譲渡の対抗要件
第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

建太郎「債務者の立場から見れば分かるよな。知らない人がいきなり現れて、俺、今日から債権者だからよろしく。と言われても信じていいか判断できない」
胡桃「そうね。逆に、債務者からの承諾は、旧債権者、新債権者のいずれにしてもよいということを確認しておいてね。次、3はどうかしら?」
建太郎「債権譲渡が二重になされた場合の問題だよね。この場合は対抗関係になる。不動産の二重譲渡の場合は、登記を備えた方が優先するけど、債権譲渡との場合は、第四百六十七条の2項にある通り、確定日付のある証書によってした方が優先する」
胡桃「3の事例で、もしも、Cへの債権譲渡の通知が先に届いた場合はどうなるかしら?」
建太郎「それでも、確定日付のある証書によってしたDへの債権譲渡が優先するんだよね」
胡桃「そうね。とにかく、確定日付のある証書の方が優先すると覚えておいてね」
建太郎「OK」
胡桃「問題は、どちらも確定日付のある証書よってなされた場合よね。その問題が4」
建太郎「これは……。日付の前後じゃないのか?」
胡桃「残念ながら違うのよ。日付の前後に関わりなく、先に到達した方が優先するというのが判例よ。これはそういうものだと割り切って覚えるしかないわ」
建太郎「つまり、まとめると、確定日付のある証書よってなされた債権譲渡の通知が優先するということ。どちらも確定日付のある証書よってなされた場合は、到達の前後によるということだね」
胡桃「そうよ。しっかり覚えてね。というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「4だね」


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