初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 相殺 1-30 平成7年

AがBに対して、100万円の金銭債権、BがAに対して100万円の同種の債権を有する場合の相殺(AB間に特約はないものとする)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

1、Aの債権が時効によって消滅した後でも、時効完成前にBの債権と相殺適状にあれば、AはBに対して、相殺することができる。
2、Aの債権について、弁済期の定めがなく、Aから履行の請求がない時は、Bは、Bの債権の弁済期が到来しても、相殺することができない。
3、Aの債権がBの不法行為によって発生したものであるときは、Bは、Bの債権をもって相殺することができない。
4、Cが、Aの債権を差し押さえた後、BがAに対する債権を取得したときは、Bは、Aに対して相殺することができるが、それをもって、Cに対抗することはできない。

胡桃「前の問題に比べると簡単だわね」
建太郎「平成一ケタ年代の問題だからな。いいよな。このころ合格した人は」
胡桃「でも今と違って、スマホはおろか、携帯もない時代よ」
建太郎「えっ?そうなの?」
胡桃「平成7年――1995年と言えば、広末涼子がポケベルのCMをやっていた時代だそうよ」
建太郎「ポケベルって何?」
胡桃「私もよく分からないんだけど、メールだけが表示される端末みたいなものらしいわ。固定電話の数字を打ち込んでメッセージを伝えるんだって。例えば、『14106』これだけで、意味が通じるらしいわ」
建太郎「なんだそりゃ。意味が分からねえ」
胡桃「まあ、それはともかく、宅建の問題ね」
建太郎「ちょっと待って、14106ってどういう意味?」
胡桃「問題を解けたら教えてあげるわ」



建太郎「1は条文そのままの出題だよな」

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
第五百八条  時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

胡桃「この条文の趣旨は何かしら?」
建太郎「お互いに債権を有していれば、相殺適状になった時点で、わざわざ意思表示しなくても、相殺したものと考える場合も少なくない。その期待を保護しようという趣旨だよな」
胡桃「そうね。次、2はどうかしら」
建太郎「この選択肢ではBが相殺しようとしているんだよな。Bの債権――自働債権は、弁済期が到来したけど、Bの債務――受働債権は、弁済期が到来してるかどうかは不明。この場合、Bは相殺できるかという問題だよな」
胡桃「そうよ。どう考えるべきかしら?」
建太郎「相殺を主張するためには、自働債権は弁済期が到来していなければならないけど、受働債権については、弁済期が到来している必要はない。なぜならば、債務者が期限の利益を放棄するのは自由だから。ということだよな」

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条  期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2  期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

胡桃「それが分かれば、正誤の判断はできるわね。ちなみに、判例は、『弁済期の定めのない債権は弁済期にあるからそれを受働債権として相殺することができる』としているわ。次、3はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのままの出題だよね」

不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百九条  債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

建太郎「要するに、加害者からの相殺は認められないということだよな。逆に、被害者側から相殺することは別に構わないとされている」
胡桃「そうね。4はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのままの出題だね」

(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百十一条  支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。

建太郎「債権が差し押さえられた場合は、差押債権者の利益に配慮する必要があるということだよね。だから、支払の差止めを受けた後に取得した債権と相殺することはできない。それに対して、支払の差止めを受ける前から有していた債権をもって相殺することは認められていると」
胡桃「その通りよ。理解できているみたいね。というわけで答えは?」
建太郎「2だね。早速、14106の意味を教えて」
胡桃「あいしてる」
建太郎「えっ?何?」
胡桃「二度とは言わせないで!」


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