初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 保証 1-32 平成5年

AがBに対して負う1000万円の債務について、C及びDが連帯保証人となった場合(CD間の特約はないものとする)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、Bは、1000万円の請求をACDの三人のうち、いずれに対しても、その全額について行うことができる。
2、CがBから1000万円の請求を受けた場合、Cは、Bに対し、Dに500万円を請求するように求めることができる。
3、CがBから請求を受けた場合、CがAに執行の容易な財産があることを証明すれば、Bは、まずAに請求しなければならない。
4、Cが1000万円をBに弁済した場合、CはAに対して求償することができるが、Dに対して求償することはできない。


胡桃「これも簡単だわね」
建太郎「ああ。保証に関する条文レベルの出題だよな」
胡桃「確実に得点したい問題だわ。まず、1から見ていくわよ」


建太郎「普通の保証人には、分別の利益があるけど、連帯保証人にはないという問題だよね。民法の条文。まず、普通保証の場合は……」

(数人の保証人がある場合)
第四百五十六条  数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。

(分割債権及び分割債務)
第四百二十七条  数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

建太郎「このように民法の規定によって、分割債務になるとされているけど、連帯保証の場合は、連帯債務同様に、保証人一人一人が主たる債務者になったようなものだから、分割債務にならない。債務全額の請求を受けたら、全額を支払わなければならないと」
胡桃「そうね。連帯保証の基本ね。先の問題でも出て来たけど、連帯保証人には抗弁権がないということとセットで覚えておいてね」
建太郎「催告の抗弁と検索の抗弁だったね」

(催告の抗弁)
第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条  保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「これも分別の利益の問題だよね。1で見た通り、他の連帯保証人に半額請求するように求めることはできない。債務全額の請求を受けたら、全額支払うしかない」
胡桃「そうね。3はどうかしら?」
建太郎「検索の抗弁権があるかどうかの問題だよね。1で見た通り、連帯保証人には、その権利は認められていない」
胡桃「簡単だわね。4はどうかしら?」
建太郎「連帯保証人が弁済すれば、もちろん、主たる債務者に対して求償することができるよな。他の連帯保証人に対しては、負担部分に応じて求償できる?」

(共同保証人間の求償権)
第四百六十五条  第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2  第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条  連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2  前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

胡桃「それが理解できていれば、この問題の正誤は分かるわね。ついでに、求償に関して覚えておきたいのは、どのように保証契約を結んだかによって、主たる債務者に対する求償権の範囲が違ってくるということよ」
建太郎「あっ。委託を受けた保証人、委託を受けていない保証人、主たる債務者の意志に反する保証人とでは、求償権の範囲が異なるという話だったね」

(委託を受けた保証人の求償権)
第四百五十九条  保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2  第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

(委託を受けない保証人の求償権)
第四百六十二条  主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない。
2  主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

建太郎「要するに求償権の範囲が『委託を受けた保証人>委託を受けていない保証人>主たる債務者の意志に反する保証人』の順で、狭くなるということだよね」
胡桃「そうよ。細かい話だけど、チェックしておいてね。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「1だね。なんかさあ、1が答えだと、疑心暗鬼になっちゃうよね。本当に合っているのかなって」
胡桃「そうよね。もちろん、本試験では、正解を見つけたら離脱するのではなく、すべての選択肢をチェックするべきよ」
建太郎「全部の選択肢をチェックして一分ちょっとで、正解を見極めなければならないのか?」
胡桃「当然よ。すべての選択肢を確認しなければ、正確な答えは出せないでしょ。過去問の練習を繰り返しているうちに、解答スピードは速くなるわ。練習あるのみよ」

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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3