初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 地役権 1-35 平成14年

Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について、別段の定めはない)を、乙土地所有者Bと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていた時でも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定することができる。
2、この通行地役権の設定登記を行った後、Bが、乙土地をDに譲渡し、乙土地の所有権移転登記を経由した場合、Dは、この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。
3、Bは、この通行地役権を乙土地と分離して、単独で第三者に売却することができる。
4、Bが、契約で定められた部分ではない甲土地の部分を、継続かつ表現の形で、乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも、契約で認められていない部分については、通行地役権を時効取得することができない。


胡桃「何を問う問題だかは分かるわね?」
建太郎「通行地役権に関する基本的な問題だよね」
胡桃「そうね。常識的に考えれば正解が分かる問題だわね。確実に得点したいわ。1から見ていくわよ」


建太郎「これは、何を問いたい問題なのかよく分からないんだよな。間違いだろうなというのは、常識で分かるけどさあ」
胡桃「まず、地役権の設定登記をしないまま、承役地所有者Aが土地を第三者Cに売却してしまったということね。この場合、要役地所有者Bは、Cに地役権の存在を主張できますかという問題よ」
建太郎「ええっと……。うーん。そういえば、おかしいな。第三者に対して、不動産上の権利の存在を主張するためには、登記をしなければならないのが原則だよな。登記していない以上、対抗できないはず」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「これはね。実際に現地を見れば、承役地が利用されていることは一目瞭然になるはずだから、登記がなくても、要役地所有者が、通行地役権の存在を主張できるようにしようという趣旨の判例なのよ」
建太郎「判例なのか?」
胡桃「そうよ。尤も、他人の土地に地役権の成立を認めるわけだから、いくつかの要件があるわ。
1、通路として継続的に利用されていることが客観的に明らか
2、承役地の買主が通行地役権存在を知っている
3、地役権の存在を否定すべき特段の事情がない
この三つの要件を満たしていれば、要役地の所有者は承役地の取得者に対して、登記なくして、地役権を主張することができるとしているのよ」
建太郎「うーん。そんな判例があるとは初耳だな」
胡桃「念のため覚えておいてね。ただ、この問題は、2の選択肢が明らかに正しいと分かるから、1に惑わされることはないはずよ」
建太郎「2は地役権には付従性があるという問題だよね」

(地役権の付従性)
第二百八十一条  地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

建太郎「要役地の所有権移転登記を経由していれば、地役権も自動的に付着してくるから、Dは、その存在を主張することができる」
胡桃「そうね。設問のカッコ書きに注目してね。(地役権の付従性について、別段の定めはない)とあるわね。地役権は、必ずしも、自動的に移転するとは限らないわ。当事者の間で、付従性はないとすることもできるのよ。本試験では、こういうカッコ書きに、しれっと重要なことが書かれているから、必ず確認するようにしてね」
建太郎「3も、地役権の付従性の問題だよな」
胡桃「解説するまでもないわね。4はどうかしら?」
建太郎「地役権は時効取得することもできるということだよね。民法の……」

(地役権の時効取得)
第二百八十三条  地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

建太郎「『継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの』であれば、地役権設定契約がなくても、地役権を時効取得できる。もちろん、地役権設定契約で定められていない部分を利用していた場合でも同じだね」
胡桃「そうね。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「2だね」



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