初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 消滅時効 1-47 平成17年

Aが有する権利の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、Aが有する所有権は、取得の時から、20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。
2、AのBに対する債権を被担保債権としてAがB所有の土地に抵当権を有している場合、被担保債権が時効により消滅するか否かに関わらず、設定時から10年経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する。
3、AのCに対する債権が、CのAに対する債権と相殺できる状態であったにもかかわらず、Aが相殺することなく放置していたために、AのCに対する債権が時効により消滅した場合、Aは相殺することができない。
4、AのDに対する債権について、Dの消滅時効の完成後に、Aに対して債務を承認した場合は、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは、完成した消滅時効を援用することはできない。


胡桃「これも簡単すぎる問題だわね。何の問題かは分かるわね?」
建太郎「消滅時効の問題だろ。消滅時効って、取得時効ほどは論点ないよな」
胡桃「そうね。宅建試験では、条文レベルの出題だから、知っているかどうかだけの問題よ。まず、消滅時効と何かから見ていくわよ」


(債権等の消滅時効
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

建太郎「消滅時効にかかる権利の代表的なものが、債権だね。債権は十年間行使しないときは、消滅する。と」
胡桃「物権はどうかしら?」
建太郎「物権も利用しなければ、消滅時効にかかるんだよね。例えば、地役権についてこんな規定がある」

第二百九十三条  地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。

胡桃「そうね。でも、絶対に消滅時効にかからない権利もあったわね」
建太郎「第百六十七条の2項にある通り、所有権だよね。所有権は物に対する絶対的な支配権だから権利行使せずに、放置していたとしても、消滅時効にかかることはない」
胡桃「それが分かれば、選択肢の1の正誤は判断できるわね。次、2はどうかしら?」
建太郎「抵当権も消滅時効にかかるんだよな。ただ、抵当権の消滅時効は、第百六十七条の2項にある通り、二十年間だよね」
胡桃「そうね。その時点で正誤が判断できてしまうけど、次の条文もチェックしておいてね」

(抵当権の消滅時効
第三百九十六条  抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

建太郎「被担保債権が時効によって消滅しない限り、抵当権が消滅することはないということだよね」
胡桃「次、3はどうかしら?」
建太郎「これは、時効の問題というよりも相殺の問題だよね」

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
第五百八条  時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

胡桃「相殺のところで確認済みだから、解説するまでもないわね。4はどうかしら?」
建太郎「これは、時効制度の基本だよね。取得時効にしても消滅時効にしても、時効制度は当事者が援用しなければ、効力を生じないという話だったね」

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

建太郎「だから、時効完成後に、債務を承認したならば、消滅時効を援用することはできなくなるんじゃないかな」
胡桃「そうね。債権者としては、債務者がいったん債務の承認をした以上、時効の援用はしないものと期待するから、その期待を保護しようというわけよ。これは判例だけども、いったん債務の承認をした場合は、債務者が時効完成の事実を知らなかったとしても、時効の利益を放棄したものとされて、時効の援用ができなくなるとされているわ」
建太郎「債務者としては、損していることになるんだろうけど、そうと割り切るしかないんだろうな」
胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「4だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1