初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 遺言 1-49 平成17年

遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立ち合いが必要である。
2、自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出して検認を経ることを怠り、そのまま遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。
3、適法な遺言をした者が、その後さらに適法な遺言をした場合、前の遺言のうち、後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により、取り消したものとみなされる。
4、法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言が為された場合、Bは遺留分権利者とならない。


胡桃「この問題は、何を問う問題か分かるわね?」
建太郎「相続に関する問題だよね。条文レベルだというのは、初心者の俺でも分かるよ」
胡桃「宅建試験の相続関係の出題は条文レベルだから、確実に得点できるようにしておくべきよ。まず、自筆証書遺言って、何?ということから検討するわよ」


(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条  遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

建太郎「条文に書いてある通りだね。遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押せばいいんだ」
胡桃「その条文を知ったうえで、選択肢1を見るわよ。さあ、どう考えるべきかしら?」
建太郎「条文にある通り、証人二人以上の立ち会いが必要だとは書かれていないよな」
胡桃「じゃあ、証人二人以上の立ち会いが必要なのはどんな時?」
建太郎「公正証書又は秘密証書の場合だよな」

(公正証書遺言)
第九百六十九条  公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(秘密証書遺言)
第九百七十条  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2  第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

建太郎「いずれの場合も、公証人と証人二人以上の立会いが必要になる」
胡桃「そうね。自筆証書、公正証書、秘密証書による遺言を普通の方式による遺言というんだけど、この三つは、どういう手順を踏むのかを確実に押さえておいてね。こういう選択肢が出されることがあるから」
建太郎「OK」
胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「自筆証書遺言は、遺言者が簡単に作れるけども、相続の開始の際は、検認が必要になるんだよね」

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

建太郎「ただ、この検認は、遺言書の書き換えを防止するためのものであって、遺言の有効、無効とは関係ないという話じゃなかった?」
胡桃「その通りよ。検認の段階では、遺言書が有効か、無効かの判断は行われないということね。遺言書が無効だと主張したければ、その後、裁判に持ち込むことになるというわけよ。次、3はどうかしら?」
建太郎「これは条文通りだね。複数の遺言書を作成していて、遺言書の内容が抵触する場合は、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされるんだったね」

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2  前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

胡桃「そうね。じゃあ、一つ問題だけど、公正証書遺言でした遺言を自筆証書遺言で撤回することはできるかしら?」
建太郎「できるね。どんな方式でした遺言だろうと、撤回することは可能」

(遺言の撤回)
第千二十二条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

胡桃「最後、4はどうかしら?」
建太郎「遺留分の問題だよね。これは何を問いたいのかよく分からないけど、子供は遺留分を有しているだろう?被相続人の財産の二分の一だっけ?」

遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

胡桃「子Bには相続させない旨の遺言があっても遺留分剥奪されないのかしら?」
建太郎「もちろんだよ」
胡桃「じゃあ、子Bに遺留分を主張させないためにはどうしたらいいかしら?」
建太郎「予め遺留分を放棄させることかな?確か、家庭裁判所の許可が必要なんだよな?」

遺留分の放棄)
第千四十三条  相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2  共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

胡桃「そうね。もう一つあるわ」
建太郎「えっ?なんだろう?」
胡桃「廃除という制度よ」

(推定相続人の廃除)
第八百九十二条  遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

胡桃「廃除されると、相続権を失うから、当然、遺留分だって主張することができなくなるわ」

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

※(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

建太郎「こんなことまで、宅建試験で問われるの?」
胡桃「細かいけど、覚えておいて損はないわよ。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「3だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1