初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 不動産の物権変動 1-52 平成17年

Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して、引き渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記はまだ終えていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

1、Aの死亡により、Cが単独相続し、甲地について、相続を原因とするAからCへの所有権移転登記が為された場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をCに対抗できない。
2、Aの死亡により、Cが単独相続し、甲地について、相続を原因とするAからCへの所有権移転登記が為された後、CがDに対して甲地を売却し、その旨の所有権移転登記が為された場合、Bは自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をDに対抗できない。
3、AB間の売買契約をBから解除できる事由がある時で、Bが死亡し、EとFが二分の一ずつ共同相続した場合、E単独ではこの契約を解除することはできず、Fと共同で行わなければならない。
4、AB間の売買契約をAから解除できる事由がある時で、Bが死亡し、EとFが二分の一ずつ共同相続した場合、Aがこの契約を解除するには、EとFの全員に対して行わなければならない。



胡桃「これは宅建試験ではメジャーな出題だわ。確実に得点したい問題ね」
建太郎「ああ。不動産に関する物権変動の問題。宅建受験生にとっては十八番ともいえる問題だよな」
胡桃「早速、1から見ていくわよ」


建太郎「BとCが対抗関係に立つかどうかを問う問題だよね」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「そうね。売主の相続人と買主は対抗関係に立つのか?という問題ね。どう考えるべきかしら?」
建太郎「売主の相続人Cは単独相続したことによって、売主の地位も相続している」

(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

建太郎「つまり、CはAの地位をそっくり承継したわけで、当事者の地位にとどまっている。CとBは売買契約の当事者同士の関係に立つだけで、対抗関係にはなりようがない。Bは依然としてCに対して、所有権移転登記をするように求めることができる」
胡桃「そうね。じゃあ、Cが相続した後で、Dに売却してしまったらどうなるかを問うのが2の選択肢ね。どう考えるべきかしら?」
建太郎「これはまさに、二重売買の典型的な例になるんだよね。BとDは対抗関係に立つから、登記を先に備えた方が勝つ。選択肢2では、Dに所有権移転登記が為されたとあるから、登記を有していないBはDに対抗できないことになる」
胡桃「そうね。基本的な問題だから、簡単よね。次、3はどう考えるべきかしら?」
建太郎「Bから解除できる状態でEとFが共同相続しているから、契約解除権は、EとFに承継されている。その契約解除権をEとFが単独で行使できるのか、共同して行使しなければいけないのか?解除権の不可分性の問題だね」

(解除権の不可分性)
第五百四十四条  当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
2  前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。

建太郎「第五百四十四条にある通り、契約の解除は、その全員からすることができる。とされているから、EとFは共同して行使しなければならないことになる」
胡桃「そうね。じゃあ、選択肢4の場合は?」
建太郎「これも、解除権の不可分性の問題。解除権を行使する相手が複数の場合は、全員に対してのみ、することができる。とされているから、AはEとFの全員に対して解除しなければならないことになる」
胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「1だね。1が答えだと、これでいいのかなって戸惑うよな」
胡桃「そうね。でも、確信をもって答えられるなら、思い切って1と答えるべきよ」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1