初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 不法行為 1-53 平成17年

Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたがBの工事により、この塀は瑕疵ある状態となった。Aがその後、この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用している時に、この瑕疵により、塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。ABCはこの瑕疵があることを過失なく、知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1、Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
2、Bは、瑕疵を作り出したことに故意又は過失がなければ、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
3、Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
4、Dが、車の破損による損害賠償請求権を、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかった時は、この請求権は時効により、消滅する。


胡桃「これは何の問題か分かるわね?」
建太郎「不法行為責任について、総合的に問う問題だよね。一般不法行為責任の他、土地工作物責任についても問う内容だね」
胡桃「所有者、占有者、それに工事業者がそれぞれ、どういう責任を負うのか、正確に理解していないと解けない問題だわ。まず、1から順番に見ていくわよ」



建太郎「1は土地の工作物の所有者の責任を問う選択肢だよね」

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2  前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

建太郎「土地の工作物の占有者と所有者はどちらも土地の工作物の瑕疵によって生じた損害を賠償する責任を負っているけど、責任を負う順番が異なるんだよね。日常的に、土地の工作物を利用、管理している占有者がまず第一次的な責任を負う。ただ、占有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは責任を免れることができて、第二次的に、所有者がその損害を賠償しなければならない。ということだった」
胡桃「所有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしても責任を免れないのかしら?」
建太郎「免れないね。最終的な損害賠償責任は、所有者が負わなければならないということになる」
胡桃「その通りだわ。それが分かっていれば、1と3の正誤が判断できるわね。次、2はどうかしら?」
建太郎「工事業者の不法行為責任を問う問題だよね。工事業者は、一般的な不法行為責任を負うことになる」

不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

建太郎「ただ、不法行為責任を問うためには、工事業者に、故意又は過失がなければならない。しかも、故意又は過失の存在を立証するのは、被害者ということになっている」
胡桃「工事業者は、一般的な不法行為責任を負うということを理解していれば、後は条文レベルの出題だということが分かるわね。次、4はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのままだね」

不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

建太郎「一般的な債権の消滅時効と違って変則的な時効になっている。損害及び加害者を知った時から三年間で消滅時効にかかる」
胡桃「そうね。ちなみに、不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とするとあるのは、どう解するべきかしら?」
建太郎「除斥期間だよね。つまり、二十年を経過したら、損害及び加害者を知ったとしても、不法行為責任を追及することができなくなる」
胡桃「やたらと、設定が書かれていたけど、結局条文レベルの問題だったわね。というわけで答えは?」
建太郎「1だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1