初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 不法行為 1-54 平成14年

Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行に付き、共同してEに対し不法行為をし、ABCDがEに対して損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1、Aは、Eに対するBとDの加害割合が6対4である場合は、Eの損害全額の賠償請求に対して、損害の6割に相当する金額について賠償の支払いをする義務を負う。
2、Aが自己の負担部分を超えて、Eに対して損害を賠償した時は、その超える部分につき、Cに対してCの負担部分の限度で求償することができる。
3、AはEに対して損害賠償債務を負担したことに基づき、損害を被った場合は、損害の公平な負担の見地から信義則上相当と認められる限度において、Bに対して、損害の賠償または求償の請求をすることができる。
4、Dが、自己の負担部分を超えてEに対して損害を賠償した時は、その超える部分につき、Aに対し、Aの負担部分の限度で求償することができる。



建太郎「やたらと細かい設定だよな」
胡桃「それでも問う内容は基本的なことよ。何についての出題か分かるわね」
建太郎「不法行為使用者責任と共同不法行為についての問題だよな」
胡桃「そうよ。二つのことを問う出題だということね。それを踏まえたうえで、選択肢を見ていくわよ」


胡桃「まず問題となっているのがどの条文かは分かるわね?」
建太郎「ああ。分かるよ」

(使用者等の責任)
第七百十五条  ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

(共同不法行為者の責任)
第七百十九条  数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

建太郎「使用者等の責任と共同不法行為者の責任。いずれも、連帯債務だということだよね。連帯債務だということは、連帯債務のところで勉強した通り、被害者に対しては各人が、全額の賠償義務を負うことになる。つまり、Eが全額の賠償を求めてきた場合、Aは、全額支払わなければならないわけで、加害割合に応じた額だけ支払って逃れることはできない」

(履行の請求)
第四百三十二条  数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

胡桃「それが分かれば1の正誤は判断できるわね。次、2はどうかしら?」
建太郎「共同不法行為の場合、自己の負担部分を超えて損害を賠償した場合は、超える部分については、他の加害者に求償できるのは当然だよな。使用者責任の関係にある場合は、使用者に対しても、被用者に対しても求償できると考えるべきじゃないかな?」
胡桃「正解よ。常識で考えれば、そうだと分かると思うけど、一応判例だから、覚えておいてね」
建太郎「他の使用者に対しても、被用者に対しても請求できるんだ?」
胡桃「そうよ。次、3はどうかしら?」
建太郎「第七百十五条3項にあるとおり、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げないとされているね。ただ、一般的に、使用者は多額の資産を有している一方で、被用者は資力がないことが多い。だから、求償を無限に認めると被用者に酷だから、信義則上相当と認められる限度で求償できるんじゃないの?」
胡桃「これも判例だから、押さえておいてね。次、4はどうかしら?」
建太郎「選択肢2で検討した通りじゃないか。もう一方の加害者の使用者に対しても求償できるんだろ?」
胡桃「そうよ。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「1だね。いろいろと細かい設定が書かれていたけど、正解の選択肢はシンプルだったな」
胡桃「宅建試験では難しいことは、滅多に問われないから、シンプルに考えるべきなのよ」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1