初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 共有 1-55 平成15年

ABCが建物を共有している場合(持分を各三分の一とする)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤っているものはどれか。

1、Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。
2、Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に物理的損傷及び改変等の変更を加えることはできない。
3、Aが、その共有持分を放棄した場合、この建物は、BとCの共有となり、共有持分は各二分の一となる。
4、各共有者は何時でも共有物の分割を請求できるのが原則であるが、五年を超えない期間内であれば、分割しない旨の契約をすることができる。

胡桃「これは、条文レベルの簡単な問題だわ。分かるわね?」
建太郎「ああ。共有に関する基本を問う問題だよな」
胡桃「問題文を一瞥しただけで、答えを見つけられるようにしたいものだわ。三十秒もかからずに、正解が分からなければだめよ。まず、1から見ていくわよ」




建太郎「共有持分権は、所有権だから、各共有者が単独で処分することができて、他の共有者の同意等は要しないんだよな」

(所有権の内容)
第二百六条  所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

胡桃「そうね。共有者の一人が誰かに共有持分を売却してしまうと、他の共有者は見知らぬ誰かと共有関係になるかもしれないわけだけど、それでも、他の共有者の同意等は必要ないとされているわ。そのまま覚えるしかないわね。それと混同しないようにしたいのが、共有物自体の譲渡の場合ね。共有物自体を譲渡することは何に当たるか分かるかしら?」
建太郎「共有物自体の譲渡は、共有物を物理的に変更するに等しいよな……。つまり……」

(共有物の変更)
第二百五十一条  各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

建太郎「共有物の変更に当たるから、他の共有者の同意を得なければすることができないと?」
胡桃「そうよ。持分の譲渡と共有物の処分とでは違うことを押さえておいてね。それからもう一つ、次の条文も押さえておいてね」

(共有物の管理)
第二百五十二条  共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

胡桃「つまり、共有物の保存行為は各共有者が単独ですることができる。例えば、修理とか不法占拠者への明け渡し請求などね。一方で、共有物の管理――例えば、賃貸借契約の締結や解除などは、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。とされているのよ」
建太郎「OK」
胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「共有物の処分は、同意が必要ないけど、共有物に変更を加える場合は、他の共有者の同意を得なければならないんだよな。第二百五十一条に該当するんだよな」
胡桃「そうね。条文そのままだわ。各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。ことになっているわけで、共有者の一人が、勝手に変更を加えたのでは、困るからよね」

(共有物の使用)
第二百四十九条  各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

胡桃「次、3はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのままだね」

(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条  共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

建太郎「持分だけを競売にかけるようなことはしないで、他の共有者の物にしてしまうことで、法律関係を簡素に処理しようという趣旨だよな」
胡桃「そうね。4はどうかしら?」
建太郎「これも条文そのまま」

(共有物の分割請求)
第二百五十六条  各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2  前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

胡桃「解説するまでもないわね。というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「1だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1