初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 借家権 1-63 平成16年

貸主A及び借主B間の建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、賃料増減請求権に関する借地借家法32条の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において、建物建築中に経済事情の変動によって、AB間で定めた賃料が不相当になっても、建物の使用収益開始前にBから賃料減額請求を行うことはない。
2、AB間の建物賃貸借契約が、Bが当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわゆるサブリース契約である場合、使用収益開始後、経済事情の変動によって、AB間で定めた賃料が不相当となっても、Bから賃料減額請求を行うことはできない。
3、Bが賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合、賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。
4、Aが賃料増額請求権を行使して、AB間に協議が調わない場合、BはAの請求額を支払わなければならないが、賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払い額を超える時は、Aは超過額に年一割の利息を付してBに返還しなければならない。



胡桃「借地借家法のうち、借家権についての出題だわ。丁寧なことに、条文まで書かれているから、何の問題かは分かるわね」
建太郎「ああ。だけど、借地借家法32条とあるだけで、具体的な条文が書かれていないよな」
胡桃「それは当然でしょ。条文が書かれていたら、答えが書かれているも同然じゃないの。宅建は条文そのままの出題が多いんだから、条文は覚えるしかないのよ」


建太郎「まず、条文は次の通りだよな」

(借賃増減請求権)
第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

胡桃「まず、この条文を踏まえたうえで、3から見ていこうかしら。どう考えるべきかしら?」
建太郎「これは引っ掛け問題だよな。1項には、『将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。』とあるけど、裁判になった場合は、3項に『既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。』とある通り、賃料減額請求権を行使した時まで、遡るんだよな。だから、裁判確定の時点ではないと」
胡桃「そうね。じゃあ、4はどうかしら?」
建太郎「賃料増減請求で協議が調わなくて、裁判になった場合は、請求を受けた側が、相当だと思う額を支払えばいいんだよな。それで、裁判が確定した後に、増額請求の場合は、不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。とされている」
胡桃「全く真逆のことを述べている条文だということが分かるわね。じゃあ、2はどうかしら?」
建太郎「サブリース、つまり、転貸の場合だよな。転貸の場合は賃料増減請求権を行使できるかどうかの規定はないけど、できると考えていいんじゃないの?」
胡桃「そうよ。これは判例だから、覚えておいてね。次、1はどうかしら?」
建太郎「これがよく分からないんだよな。建物の使用収益が始まっていない時点では、賃料減額請求ができないのかな?」
胡桃「そうよ。これも判例よ。というより、常識で考えて分かるわね。まだ、建物を使用していないのに、賃料減額請求をするなんておかしいでしょ。設問みたいに、AB間で定めた賃料が不相当になっても、もしかしたら、使用開始時までに、貸主Aが設定した賃料に相当するオプションを付け加えるかもしれないでしょ。賃料減額請求をするなら、実際に利用してからにしなさいということよ」
建太郎「なるほど、そう考えれば、建物の使用収益が始まっていない時点で、賃料減額請求をするのはおかしいと分かるな」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「1だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2