初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 物権変動 1-71 平成7年

Aの所有する土地をBが取得した後、Bが移転登記をする前に、CがAから登記を移転した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、BがCに対して登記がなければ土地の所有権を主張できないものはどれか。

1、BがAから購入した後、AがCに仮装譲渡し、登記をC名義に移転した場合
2、BがAから購入した後、CがBに強迫して登記の申請を妨げ、CがAから購入して登記をC名義に移転した場合
3、BがAから購入し、登記手続きをCに委任したところ、Cが登記をC名義に移転した場合
4、Bの取得時効が完成した後、AがCに売却し、登記をC名義に移転した場合


胡桃「これも簡単な問題だわね。対抗要件に関する条文レベルの出題だわ」
建太郎「ああ。だけど、AだのBだのCだのと、まるで数学の問題みたいで混乱するじゃないか」
胡桃「ごちゃごちゃ言わないで、根気よく解くのよ」


胡桃「まず、1は何の問題か分かるわね?」
建太郎「虚偽表示の問題だよな」

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

建太郎「つまり、AC間の移転登記は無効だから、BはCに対して登記なくして対抗することができる」
胡桃「そうね。Cが無権利者だから、登記なくして対抗できるということよ。要するに不法占拠者に対抗できるのと同じ理屈ね。次、2はどうかしら?」
建太郎「これは、強迫の事例だね」

(詐欺又は強迫)
第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

建太郎「とは言え、民法のこの規定を適用する場面ではないよな」
胡桃「もちろん、民法の規定は関係ないわ」
建太郎「じゃあ。判例か?常識で考えて、この設例では、BはCに対して登記なくして対抗することができるだろうなというのは分かるけど」
胡桃「判例じゃないわ。条文よ。不動産登記法にこうあるわ」

(登記がないことを主張することができない第三者)
第五条  詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は、その登記がないことを主張することができない。
2  他人のために登記を申請する義務を負う第三者は、その登記がないことを主張することができない。ただし、その登記の登記原因(登記の原因となる事実又は法律行為をいう。以下同じ。)が自己の登記の登記原因の後に生じたときは、この限りでない。

建太郎「えっ。こんな条文があったの?初めて知ったんだけど……」
胡桃「知らなくても、こういう人たちが登記がないことを主張することができないだろうなというのは常識で分かるわよね。次、3はどうかしら?」
建太郎「これも常識……。というか、今見た、第五条2項の条文そのままの出題だよな」
胡桃「そうね。4はどうかしら?」
建太郎「この問題で対抗問題になるのは、この選択肢だけだよな。時効完成後の第三者に対しては、登記がなければ対抗することができない。つまり、Aを軸にして、二重譲渡されたような関係になるわけだ」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「そうね。基本的な判例だから、押さえておいてね。というわけで答えは?」
建太郎「4だね」


ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキストとは?

 宅建士(宅地建物取引士)資格試験の基本テキストです。

 一般的な資格スクールのテキストとは違い、全文が小説形式で記されています。ライトノベル小説を読む感覚で、宅建士試験の勉強ができてしまうという画期的なテキストです。

 入門書ではありません。宅建士試験で問われる項目はすべて網羅しており、一部は、司法書士試験、不動産鑑定士試験レベルの内容も含んでいます。シリーズを全巻読破すれば、宅建士試験に楽々合格できるレベルの知識が身に付きます。
 初めて宅建の勉強をする方はもちろんのこと、一通り勉強した中上級者の方が、試験内容をサラッと再確認するのにも役立ちます。

 通勤時間や待機時間に、資格スクールのテキストをめくっても、集中できなくて、内容が頭に入ってこない。という悩みを抱えている方も多いと思います。
 でも、ライトノベル小説ならすんなりと読めるのでは?

 既にお持ちの資格スクールのテキストや過去問と併用してお読みいただくことで、より一層、内容を理解することができますよ。

ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキストシリーズは下記で公開しています

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2