初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 物権変動 1-72 平成15年

Aは、自己所有の甲地をBに売却し、引き渡したが、Bは、まだ、所有権移転登記を行っていない。この場合、民法の規定および判例によれば、次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1、CがAB間の売買の事実を知らずに、Aから甲地を買い受け、所有権移転登記を得た場合、CはBに対して、甲地の所有権を主張することができる。
2、Dが、Bを欺き、著しく高く売りつける目的で、Bが所有権移転登記を行っていないことに乗じて、Aから甲地を買い受け、所有権移転登記を得た場合、DはBに対して、甲地の所有権を主張することができない。
3、Eが、甲地に抵当権を設定して登記を得た場合でも、その後、Bが所有権移転登記を得てしまえば、以後、EはBに対して、甲地に抵当権を設定したことを主張することができない。
4、AとFが通謀して甲地をAからFに仮装譲渡し、所有権移転登記を得た場合、Bは登記なくとも、Fに対して、甲地の所有権を主張することができる。


胡桃「これは、簡単な問題よね」
建太郎「簡単すぎて、これが本当に正解なのか、疑心暗鬼になってしまうような問題だよな」
胡桃「まず、不動産の物権変動の問題を解くためのコツから確認しておくわよ」
建太郎「問題を解くためのコツ?」



胡桃「この手の問題が出されたときに、第一に考えるべきことは、設問の契約が実体法上、有効かどうかということよ。無効だということであれば、そもそも、対抗問題にならないのよ。例えば、公序良俗違反とか、無権利者の不法占拠とか、仮装売買が典型的な例ね」
建太郎「うん。そりゃそうだな」
胡桃「実体法上、有効だと分かったら、次に、登記がないことを主張する正当な利益を有しているのかどうかを考えるのよ。例えば、背信的悪意者とか、登記申請を妨害した者や、登記申請の委任を受けた者は、登記がないことを主張する正当な利益を有しているとは言えないわ。登記申請を妨害した者というのは、不動産登記法にも規定があるから再確認しておいてね」

(登記がないことを主張することができない第三者)
第五条  詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は、その登記がないことを主張することができない。
2  他人のために登記を申請する義務を負う第三者は、その登記がないことを主張することができない。ただし、その登記の登記原因(登記の原因となる事実又は法律行為をいう。以下同じ。)が自己の登記の登記原因の後に生じたときは、この限りでない。

建太郎「OK」
胡桃「実体法上、有効で、相手が登記がないことを主張する正当な利益を有していることが分かった段階で、はじめて、対抗できるかどうかを検討する段階に入るのよ」
建太郎「なるほど、そういうふうに考えるんだね」
胡桃「まず、1から見ていくわよ」
建太郎「ええっと、AC間の売買契約は、実体法上有効だよな。それから、CはBに対して登記がないことを主張する正当な利益を有していると言える。だから、登記を先に備えたCが優先するわけだな」
胡桃「そうね。二重売買の典型的な事例だわ。次、2はどうかしら?」
建太郎「AD間の売買契約は、とりあえず、有効に成立していると言えるね。ただ、Dの動機は、背信的悪意者に該当するから、Bに対して登記がないことを主張する正当な利益を有していると言えない。だから、登記の有無にかかわらず、BはDに対抗できることになる」
胡桃「そうね。次、3はどうかしら?」
建太郎「これって対抗問題なのか?」
胡桃「もちろんよ。所有権の二重売買が対抗問題の典型的な事例だけど、抵当権の設定も対抗問題になるのよ。今までみたいに考えてみて」
建太郎「まず、抵当権を設定することは特に問題ないみたいだな。実体法上の問題はない。それから、EはBに対して登記がないことを主張する正当な利益を有していると言える。だから、対抗問題になるわけで、先に抵当権設定登記をしていれば、抵当権が設定されていることをBに対して主張することができると?」
胡桃「そうよ。それでいいのよ。つまり、Bは抵当権が設定された物件を取得したことになるわけね。次、4はどうかしら?」
建太郎「仮装譲渡している。この時点で、実体法上、有効な契約とは言えない」

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

建太郎「だから、Fは、無権利者ということになり、Bは登記がなくても、Fに対して対抗することができるわけだ」
胡桃「そうね。というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「3だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2