初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 行為能力 2-3 平成26年

後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合は、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。
2、成年後見人が成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。
3、未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。
4、成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は、必ずしも、家庭裁判所が選任する者とは限らない。


胡桃「これは条文を知っているかどうかの問題だわ」
建太郎「逆に知らない条文の問題が出てきたら、正解が分からなくなるということだな」
胡桃「そうなりたくなければ、民法の条文は第一条から第千四十四条まで目を通しておくべきよ」
建太郎「第千四十四条も読めるはずがねえ!」


胡桃「まず、1から見ていくわよ」
建太郎「成年被後見人のした法律行為は常に取り消しうるということだよな」

成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

建太郎「例外は、日用品の購入その他日常生活に関する行為だけで、贈与を受ける契約のように、一般的に利益を得る行為については、取り消せないという制約はない。贈与を受ける契約が必ずしも、成年被後見人のためになるかどうか分からないからね」
胡桃「その通りね。それと比較しておきたいのが、未成年者の法律行為ね」

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

胡桃「未成年者については、『ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。』とされているわ。つまり、贈与を受ける契約は、その法定代理人の同意を得る必要はないということね」
建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「これも条文通りだよな」

成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

建太郎「許可が必要ないどころか、まさに、許可が必要なケースだよな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「これも条文通り」

第八百三十八条  後見は、次に掲げる場合に開始する。
一  未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二  後見開始の審判があったとき。

(後見開始の審判)
第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

建太郎「未成年後見人も、後見開始の審判を請求することができると書かれているね」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「これは迷うな……。成年後見人が家庭裁判所の選任する者であることは分かるけど、未成年後見人は、必ずしも、家庭裁判所が選任する者とは限らない?親権者とは違うんだよな?」
胡桃「これも、未成年後見人の選任に関する条文をチェックしていればすぐに、正誤が判断できる問題だわ。まず、未成年後見人が家庭裁判所によって選任される場合があるというのは正しいわ」

(未成年後見人の選任)
第八百四十条  前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
2  未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。
3  未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

胡桃「でも条文のニュアンスから分かると思うけど、家庭裁判所によって選任されるのは、やむを得ない場合なのよね。第一義的には、前条の規定によるのよ。次の条文よ」

(未成年後見人の指定)
第八百三十九条  未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
2  親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。

建太郎「未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定するというのが、原則なのか?」
胡桃「そうよ。若い人が、遺言書を書くことは、まだ、身近ではないかもしれないけど、民法では、未成年者の親権者は、万が一の時に備えて、遺言によって、未成年後見人を指定しているものだと想定しているわけね」
建太郎「うーむ。例えば、俺と胡桃が結婚して子供が生まれたら、その瞬間から、万が一のために、遺言書を書いて、子供のための未成年後見人を指定しておくのが常識だと、民法には書かれているわけか。うーん。想像できないや」
胡桃「私も想像できないわ。私と建太郎が結婚するなんてありえないからね」
建太郎「そういう意味じゃないよ!」
胡桃「それより答えは?」
建太郎「4だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2