初めての宅建士資格試験重要過去問

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相続、遺贈、死因贈与の違いとは / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

相続、遺贈、死因贈与

どれも同じ意味のように思うかもしれませんが、厳密には違います。以下、その違いをまとめておきます。

相続とは……

被相続人の死亡により、被相続人の資産と負債が法定相続人に対して法律で定められた割合により包括的に承継されることを意味します。

遺言書などに基づかない法定相続や相続人間の遺産分割協議により各相続人の承継持ち分を決める場合のことです。

相続と言う場合は、資産と負債を承継するのは法定相続人に限られます。



遺贈とは……

被相続人の遺言に基づいて、被相続人の資産と負債が行われる場合に遺贈と言います。

遺贈を受ける者は、法定相続人とは限りません。法定相続人以外の者でも遺贈を受けることがあります。

遺贈にはいくつか種類があります。

包括遺贈……遺産の全部または一部を一定の割合で示して遺贈することです。

例えば、「遺産の三分の一を誰々に遺贈する」というような場合です。

特定遺贈……ある特定の財産を対象として遺贈することです。

例えば、「実家の土地と建物を遺贈する」というような場合です。

負担付遺贈……遺贈する見返りとして、遺産を受け取る者(受遺者)に対して、一定の義務を課するものです。

例えば、「遺産の三分の一を遺贈するので、ペットの面倒を見てくれ」と言うような場合です。

もしも、受遺者がその義務を履行しない場合は、相続人が、受遺者に対して履行の催促をしそれでも履行しない場合は、家庭裁判所に対して遺言の取り消しを請求することができます。

なお、受遺者の義務は、「遺贈の目的物の対価の限度」で果たせばよい。とされています。

例えば、「十万円を遺贈するから、ペットの面倒を見てくれ」という遺言だったとしましょう。

その場合、十万円の遺贈を受けた人は、十万円の限度でペットの面倒を見ればよいということです。エサ代や病院代などで費用が掛かり、十万円を超えてしまった場合は、もはや、面倒を見なくてもよいということになるわけです。

死因贈与とは……

贈与者が死亡することにより受贈者に財産が承継されるという点で遺贈と同じです。

死因贈与と遺贈の違いは……

遺贈は、遺言者が一方的に遺言書によって、財産の分配を行うものです。ですから、生前に受遺者に対して、あなたに遺贈しますからねと、伝えておく必要はありません。

受遺者にとっては、寝耳に水となるわけですが、遺贈を辞退することも可能です。

一方、死因贈与は、死亡を原因とする贈与契約です。

すなわち、贈与する者が受贈者に対して死後に財産を贈与する旨を告げて、受贈者の了解を得ておかなければなりません。遺言書ではなくて、贈与契約書というものを作成しておくことになります。



※参考条文 民法

(負担付贈与)
第五百五十三条  負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

死因贈与
第五百五十四条  贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条  受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2  遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条  遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。

(負担付遺贈)
第千二条  負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条  負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


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