初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 連帯債務・保証 2-28 平成20年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

AからBとCとが負担部分二分の一として連帯して1000万円を借り入れる場合と、DからEが1000万円を借り入れ、Fが借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、AがBに対して、債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。DがEに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
2、Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。
3、Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
4、AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合にはEが、それぞれ、1000万円の債務を負う。



建太郎「やたらと設定がごちゃごちゃと書かれていて、概要を把握するのが大変だよな。めちゃめちゃ、時間を取られるよ」
胡桃「そうかしら?でも、問われている内容は基本的なレベルよ。合格ラインに達している人ならば、三十秒もあれば、答えが分かるわ」
建太郎「まじか!」
胡桃「まずは、連帯債務と連帯保証の違いについて確認しておくわよ」


建太郎「連帯債務は、BとCがどちらも主たる債務者になるわけだから、一方に生じた事由は原則として他方にも影響を及ぼすんだよな。それに対して、連帯保証は、Eが主たる債務者で、Fは保証人に過ぎない。つまり、負担部分は有していないわけで、主たる債務者Eに生じた事由が、保証人であるFに生じるとは限らない」
胡桃「そうね。ついでに、普通保証と連帯保証の違いは何か分かるかしら?」
建太郎「大きな違いは、催告の抗弁と検索の抗弁がないことだよな。つまり、連帯保証の場合、債権者から請求を受けたら、直ちに支払わなければならないわけだ」

(催告の抗弁)
第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条  保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

胡桃「とりあえず、1から見ていくわよ。どう考えるべきかしら?」
「1は債務免除の場合だね」

(連帯債務者の一人に対する免除)
第四百三十七条  連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。

建太郎「条文の通り、連帯債務者の一人に対して債務免除すれば、その負担部分について他の連帯債務者も債務を免れることができる。だから、BとCについて述べている前半は正しいな」
胡桃「じゃあ、連帯保証であるEとFの関係はどうかしら?」
建太郎「主たる債務者であるEに対して債務免除すれば、付従性によって連帯保証人であるFも債務を免れる。一方、Fに対して免除しても、F自身は債務者ではなくて負担部分を有していない。保証債務を免れるというだけで、Eに効力は及ばないんだよな。つまり、依然として1000万円の債務を負担していると」
胡桃「そうね。単に保証のない債務になったにすぎないということね。次、2はどうかしら?」
建太郎「これは、連帯債務と連帯保証で共通していることだよな」

(連帯債務者の一人に対する履行の請求)
第四百三十四条  連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。

建太郎「連帯債務の場合は当然として、連帯保証の場合でも、連帯保証人に対する請求は、主たる債務者にもその効力を生ずる」

(連帯保証人について生じた事由の効力)
第四百五十八条  第四百三十四条から第四百四十条までの規定は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。

胡桃「基本中の基本だわね。3はどうかしら?」
建太郎「消滅時効にかかる場合だね。考え方は、債務免除と同じだよな」

(連帯債務者の一人についての時効の完成)
第四百三十九条  連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

建太郎「条文の通り、連帯債務者の一人について時効が完成すれば、その負担部分について他方の連帯債務者も債務を免れる。連帯保証の場合は、主たる債務者について時効が完成すれば、連帯保証人も債務を免れるけど、連帯保証人の時効が完成しても、主たる債務者には効力が及ばない。保証債務が外れるだけだよな」
胡桃「その通りね。4はどうかしら?」
建太郎「契約が無効の場合だよな」

(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
第四百三十三条  連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。

建太郎「連帯債務者の一人について契約が無効だッたとしたら、他方の連帯債務者が全額の債務を負担することになる。一歩う連帯保証の場合は、主たる債務者について、契約が無効ならば、付従性によって、保証債務も無効になるけど、連帯保証人の契約が無効でも、主たる債務者の債務には何らの影響もない」
胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「2だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 宅建業法1