初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 相隣関係 2-29 平成25年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

甲土地の所有者Aが他人の所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1、甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。
2、甲土地が共有物分割によって、公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行の償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。
3、甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。
4、甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合は、Aは、隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。



胡桃「これは何を問う問題か分かるわね?」
建太郎「相隣関係だよな。あのやたらと難しい漢字の囲繞地通行権についての問題だ」
胡桃「問題になっているのは、囲繞地通行権だけではないわよ。他人の土地を通行するための三つの権利について問うているのよ。分かるわよね?」



胡桃「他人の土地を通行するためには、三つの方法があるわけだけど、何と何と何かしら?」
建太郎「まずは、囲繞地通行権、それから、通行地役権。後は、他人の土地を賃借する方法だな」
胡桃「そうね。条文をざっと確認しておいてね」

(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条  他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2  池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

(地役権の内容)
第二百八十条  地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

(賃貸借)
第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

胡桃「それを踏まえたうえで、まずは、1から見ていくわよ」
建太郎「Aは自由に選んで通行できるわけではないことは、常識で判断できるよな」
胡桃「そうね。とりあえず、条文を確認しておくわよ」

第二百十一条  前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2  前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。

第二百十二条  第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。

胡桃「通行の方法については、『必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。 』とされているわ。常識でも分かることよね。2はどうかしら?」
建太郎「共有物分割によって、行動に通じなくなったならば、分割したところの土地しか通行できないんだよな。無関係の土地所有者に迷惑をかけるべきではないということだよな」

第二百十三条  分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2  前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

胡桃「条文そのままの出題だわ。3はどうかしら?」
建太郎「賃貸借契約を締結しているならば、特に、難しいことを考える必要もなく通行できるとしていいんじゃない?」
胡桃「そうね。4はどうかしら?」
建太郎「通行地役権は時効取得することができるわけだけど、時効取得するためには、自分で通路を開設しなければならないんじゃなかった?土地の所有者――承役地所有者が好意で開設した通路を通行するだけでは、時効取得できない」
胡桃「そうね。判例からの出題だわ。とりあえず、条文を確認しておくわよ」

(地役権の時効取得)
第二百八十三条  地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

胡桃「外形上認識することができるものに限り――つまり、通路を開設していることが前提になるわけよね。その通路は、要役地の所有者が自らの手で承役地に開設した場合だけ、時効取得しうるというのが判例よ」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「4だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 宅建業法1