初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 抵当権 2-32 平成27年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

1、賃借地上の建物が抵当権の目的となっている時は、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。
2、抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。
3、抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて、その代価を抵当権者に弁済した時は、抵当権はその第三者のために消滅する。
4、土地に抵当権が設定された後に、抵当地に建物が築造されたときは、一定の場合を除き、抵当権者は土地と共に建物を競売することができるが、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。



建太郎「この問題が、平成27年に出されたなんて信じられないよな。まるで平成一ケタ年代の問題みたいじゃん」
胡桃「基本的な問題だわ。合格レベルに達している人ならば、確実に得点する問題だから、取りこぼしてはだめよ。まず、1から見ていくわよ」


建太郎「1は常識で考えて、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶようにしておかないと、建物を強制執行する時に、困るよな」
胡桃「確かに常識でも分かるけど、この問題は民法の知識を問う問題なんだから、根拠条文を示せなければだめよ」
建太郎「うん……?なんだろう?」
胡桃「建物に対して、敷地の賃借権はどういう関係の権利と言えるかしら?」
建太郎「どういうって……。おまけみたいなものか?」
胡桃「そうよ。おまけのことを法律的に表現すると何というかしら?」
建太郎「従物かな」
胡桃「この選択肢で思い浮かべるべき条文は次の条文よ」

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条  抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。

※(詐害行為取消権)
第四百二十四条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

建太郎「これって、建物にくっつけた工作物のことだろ。例えば雨戸とかガラスとか」
胡桃「そうよ。付加一体物のことね。抵当権の効力が及ぶのは付加一体物だけではないわよね」
建太郎「従物にも及ぶんだよな」

(主物及び従物)
第八十七条  物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2  従物は、主物の処分に従う。

胡桃「従物と同様に、従たる権利にも抵当権の効力が及ぶとするのが判例なのよ。つまり、借地権は抵当不動産の従たる権利だから、抵当権の効力が及ぶとされているわ」
建太郎「なるほど。そう考えるのか」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「抵当権消滅請求をすることができるのは誰かという問題だよな。抵当権消滅請求は、無関係の人が抵当不動産を取得した場合に、請求できる権利であって、主たる債務者や保証人が行使することはできないんじゃなかった?」
胡桃「そうよ。次の条文ね」

抵当権消滅請求
第三百七十九条  抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

※(抵当権消滅請求の手続)
第三百八十三条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一  取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二  抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
三  債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

抵当権消滅請求の効果)
第三百八十六条  登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

胡桃「抵当権消滅請求ができるのは、抵当不動産の第三取得者。主たる債務者、保証人は請求できないと、次の条文に、わざわざ明記されているわ」

第三百八十条  主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「代価弁済のことだよな。抵当権消滅請求が第三取得者から、抵当権を消滅させることができる制度であるのに対して、代価弁済は抵当権者から第三取得者に対して、請求する権利なんだよな」
胡桃「そうね。次の条文よ」

(代価弁済)
第三百七十八条  抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「法定地上権が成立しない場合に、一括競売ができるという制度だよな」
胡桃「具体的に説明してくれるかしら?」
建太郎「つまり、抵当権設定当時に、土地と建物が存在して同一人に帰属していた場合は、抵当権の実行によって、土地と建物が別々の人の所有になった場合でも、その建物について、地上権が設定されたものとみなすことができる。これが法定地上権

法定地上権
第三百八十八条  土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

建太郎「だけど、抵当権設定当時に、土地が更地で、後になって建物が築造された場合は、その後、土地の抵当権が実行されても、建物のために、法定地上権は成立しない。じゃあ、建物は取り壊さなければならないのかというと、それではあまりに経済的ではないから、一括競売ができるとされている」

(抵当地の上の建物の競売)
第三百八十九条  抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2  前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。

建太郎「一括競売をした場合、土地の代価についてのみ優先弁済を受けることができるにすぎないとされている」
胡桃「そうね。抵当権者は、建物に対しては何らの権利も有していないわけだから、当然よね。というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「2だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 宅建業法1

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