初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 時効の中断 2-37 平成21年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

Aは、Bに対し、建物を賃貸し、月額10万円の賃料債権を有している。この賃料債権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

1、AがBに対する賃料債権につき、支払督促の申立をし、さらに期間内に適法に仮執行の宣言の申立てをした時は、消滅時効は中断する。
2、Bが、Aとの建物賃貸借契約締結時に、賃料債権につき、消滅時効の利益はあらかじめ放棄する旨約定したとしても、その約定に法的効力は認められない。
3、Aが、Bに対する賃料債権につき、内容証明郵便により、支払を請求した時は、その請求により、消滅時効は中断する。
4、Bが、賃料債権の消滅時効が完成した後に、その賃料債権を承認した時は、消滅時効の完成を知らなかった時でも、その完成した消滅時効の援用をすることは許されない。



建太郎「んっ?賃貸借契約の問題かと思ったら、時効の中断に関する問題なんだな」
胡桃「いずれも基本的な選択肢ばかりだわ。確実に得点したい問題ね」


胡桃「まず、消滅時効はどういう場合に中断するのか確認しておくわよ」
建太郎「民法の……」

(時効の中断事由)
第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

建太郎「つまり、債権者からの請求や差押え、仮差押え又は仮処分。それから、債務者からの承認だな」
胡桃「その条文が基本だわ。差押え、仮差押え又は仮処分、承認について具体的に問うのがこの問題ね。1から見ていくわよ」
建太郎「1は、条文そのままの出題だね。支払督促をしただけでは足りなくて、仮執行まで進まないといけないんだよな」

(支払督促)
第百五十条  支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。

民事訴訟
(期間の徒過による支払督促の失効)
第三百九十二条  債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。

胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「これも条文通りだね。時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。つまり強行規定なんだよな」

(時効の利益の放棄)
第百四十六条  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

胡桃「その通りだわ。じゃあ、3はどうかしら?」
建太郎「選択肢3みたいに内容証明郵便で請求することは、催告に当たるんだよな」

(催告)
第百五十三条  催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事事件手続法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

建太郎「催告は、六箇月以内に、裁判上の請求等をしなければ、時効の中断の効力を生じない。とされている」
胡桃「そうね。内容証明郵便による請求は催告の典型的な事例だと押さえておいてね。4はどうかしら?」
建太郎「消滅時効は債務者が援用しなければ効力を生じないんだよな」

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

建太郎「つまり、援用するか、しないかは、債務者の自由なんだよな。でも、一旦、債権を承認した後で、いきなり、消滅時効を援用するのはおかしいよな」
胡桃「そう考えれば、時効の援用は許されないだろうと判断できるわね。ちなみに、これは判例だから押さえておいてね。債務の消滅時効が完成した後に、債権の承認をした場合は、時効の完成を知らなかったとしても、時効を援用することは、信義則に照らし許されないとしているわ」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「3だね」



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ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキストシリーズは下記で公開しています

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 宅建業法1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 宅建業法2