宅建士試験過去問 法令上の制限 農地法 1-46 平成11年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう
農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1、耕作する目的で、農地の所有権を取得する場合で、取得する農地の面積が4ヘクタールを超える時は、農林水産大臣の農地法第三条の許可を受ける必要がある。
2、農家がその農業用倉庫として利用する目的で、自己の所有する農地を転用する場合は、転用する農地の面積の如何にかかわらず、農地法第四条の許可を受ける必要がある。
3、市街化調整区域内にある農地について、農地以外のものに転用するため、所有権を取得する場合で、転用する農地の面積が4ヘクタールを超える時は、都道府県知事に農地法第五条の届出をする必要がある。
4、土地登記簿上の地目が山林や原野であっても、現況が農地であれば、その所有権を取得する場合は、原則として農地法第三条又は第五条の許可を受ける必要がある。
美里「これは改正された分野を含む出題だね」
建太郎「そういえば何か変わったんだよな」
美里「とりあえず、正解がどれかはわかるよね」
建太郎「うん。基本的な選択肢だからな」
美里「まず、改正された項目について簡単に確認しておくよ。農地法第三条、第四条、第五条の許可の許可権者は、だれか?ということだよ」
建太郎「ええっと、農地法第三条は……。農業委員会だな」
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限) 抜粋
第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
美里「そうだよ。この点に関しては、改正はないよ。問題は、四条と五条だよ」
(農地の転用の制限)
第四条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
第五条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
建太郎「ええっと……。どちらも都道府県知事等の許可を受ければいいんだな」
美里「そうだよ。改正前は、同一の事業に供するため、四ヘクタールを超える農地を転用したり、取得する場合は、農林水産大臣の許可が必要とされていたんだけど、その規定が削除されて、都道府県知事等に一本化されたんだ」
建太郎「そりゃ。分かりやすくてありがたいな」
美里「というわけで、許可権者が、第三条と第四条、五条とでは違うということだけ、押さえておいてね」
建太郎「OK」
美里「それを踏まえたうえで、1から見ていくよ」
建太郎「第三条許可は、農業委員会の許可だよな」
美里「次、2はどう?」
建太郎「ええっと。これは規則の方に定めがあるんだっけ」
(農地の転用の制限)
第四条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
八 その他農林水産省令で定める場合
農地法施行規則
(農地の転用の制限の例外) 抜粋
第二十九条 法第四条第一項第八号 の農林水産省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 耕作の事業を行う者がその農地をその者の耕作の事業に供する他の農地の保全若しくは利用の増進のため又はその農地(二アール未満のものに限る。)をその者の農作物の育成若しくは養畜の事業のための農業用施設に供する場合
建太郎「つまり、二アール未満のものならばOKなんだよな」
美里「そうだよ。次、3はどう?」
建太郎「農地法第五条の届出だな。届出先は……」
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)抜粋
第五条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
六 前条第一項第七号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
建太郎「農業委員会だな。これも規模にかかわらず、農業委員会でいいんだよな」
美里「そうだよ。次、4はどう?」
建太郎「その通りでいいんだよな」
美里「農地の定義の問題だね。次の条文を確認しておくよ」
(定義) 抜粋
第二条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
美里「不動産登記簿上、農地とされている土地を農地とするとは定められていないね。耕作の目的に供される土地であれば、農地だということだよ」
建太郎「OK」
美里「というわけで答えは?」
建太郎「4なんだな」
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