初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 区分所有権 1-58 平成13年

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分の全部について、持分割合を定める規約を設定することができる。
2、一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更、又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。
3、管理者は、規約の定めまたは集会の決議があっても、その職務に関し区分所有者のために、原告又は被告となることができない。
4、管理者は少なくとも毎年一回集会を招集しなければならないが、集会は、区分所有者全員の同意がある時は、招集の手続きを経ないで開くことができる。


建太郎「これも条文を知っているかどうかだけで、決まる問題だよな」
胡桃「そうね。尤も、マンションに住んでいる人ならば、一般常識で解けないこともなくはないわ」
建太郎「いやあ……、俺も宅本タワーマンションの最上階に住んでいるけど、マンションの管理規約なんて読んだことないよ」
胡桃「何それ、さりげなく自慢しているわけ?俺が管理規約だ!みたいに思っているんでしょ?」
建太郎「そんなことないよ!」



胡桃「まず1から見ていくわよ」
建太郎「最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書でいろいろなことを決められるんだったよな」
胡桃「いろいろなことって何かしら?」
建太郎「ええっと……。なんだっけ?」
胡桃「それを正確に覚えていなければ意味がないのよ。条文をチェックするわよ」

(公正証書による規約の設定)
第三十二条  最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。

建太郎「条文の番号が書かれているだけで何のことか分からないじゃん」
胡桃「もちろん、一つ一つチェックするわよ」
建太郎「まじか!めんどくせえ!」

(共用部分)
第四条  数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2  第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

※(建物の区分所有)
第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(規約による建物の敷地)
第五条  区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
2  建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。

(分離処分の禁止)
第二十二条  敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3  前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。

胡桃「ざっと見れば分かる通り、公正証書で定められるのは、専有部分と敷地利用権の一体性の原則に関する事項ね。設問にあるような、『共用部分の全部について、持分割合を定める規約』を定めることができるとは書かれていないわ」
建太郎「なんでも決められるわけではないんだね」
胡桃「そうよ。条文を丹念に読み込んでおいてね。次、2はどうかしら?」
建太郎「区分所有者全員の承諾を得なければならない。この時点で、こんな無茶な話があるはずがないと分かるよ」
胡桃「そうね。常識で正誤が判断できるけど、条文に基づいて、判断したいものだわ」

(規約の設定、変更及び廃止)
第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

※(規約事項)
第三十条  建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
2  一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
3  前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
4  第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
5  規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。

建太郎「第三十一条の2項だね。『当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。』とされている」
胡桃「そうね。次、3はどうかしら?」
建太郎「これは条文通りだね」

(権限)
第二十六条  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2  管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3  管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4  管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5  管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

建太郎「4項にある通り、『規約又は集会の決議により』その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができるとされているね」
胡桃「解説するまでもないわね。4はどうかしら?」
建太郎「区分所有者全員が同意しているなら、招集の手続きを省略してもいいんじゃない?って常識で考えられるよな」
胡桃「そうね。条文をチェックするわよ」

(招集手続の省略)
第三十六条  集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。

胡桃「それから、年に一回は開かなければならないという点も正しいわね」

(集会の招集)
第三十四条  集会は、管理者が招集する。
2  管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3  区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4  前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5  管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「4だね」


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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2