初めての宅建士資格試験重要過去問

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二つのタイプの遺言書 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書には、大きく分けて二つのタイプがあります。

一つは、自分で作成するタイプの遺言書。もう一つは他人に作成してもらうタイプの遺言書です。

自分で作成する遺言書は「自筆証書遺言」と言います。

自筆証書遺言は、遺言者が日付と氏名を自書し、押印するという方式の遺言書です。

自筆証書遺言は、特別な手続きを踏まなくても作成することができます。目の前に紙とペンがあれば今すぐに書き始めることができます。

用紙については特別なものを用いる必要はありません。和紙である必要はありませんし、普通の便箋でもいいですし、広告の裏に書いたってもいいのです。

また、ペンについても、どんな筆記用具を用いてもかまいません。毛筆である必要はありませんし、鉛筆で書いても形式が整っていれば有効になります。

ただ、鉛筆だと、消しゴムで消すことができるので望ましくありません。遺言書の有効性が争われることになるでしょう。

一般的にはボールペンや万年筆で書くのが望ましいです。

自筆証書遺言の作成の際に注意したいことは、自書しなければならないということです。

今は、文書の作成にワープロやパソコンを使う方が多いと思いますが、ワープロやパソコンで書いた遺言書は無効です。

必ず自分の手で書かなければならないのです。

ですから、手に障害がありペンを持てない、目が見えないという方は、自筆証書遺言を作成することは難しいということになります。

法律家に代書してもらうことはできないのか?と思う方もいるかもしれませんが、たとえ、弁護士などの法律家でも、自筆証書遺言を代書することはできません。



もう一つ注意すべきことは、自筆証書遺言には日付を記載しなければならないということです。

遺言書は一度作成したら二度と作成できないというものではありません。

一度書いた遺言書を撤回して書き直すことは何度でもできます。

複数の遺言書が作成されていた場合は、その日付の前後により、最終的な遺言はどれなのかを判断しなければならないのです。

そのため、遺言書を作成した日付が大切なのです。



遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。とされていますが、自筆証書遺言はそのままでは、ただの紙切れですから、何の意味もありません。

遺言書を見つけた人が無視して捨ててしまえばそれまでです。

自筆証書遺言が有効な遺言書として機能するためには、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所で「遺言書の検認」と言う手続きを経なければなりません。

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認を経て初めて、遺言書を基にして相続手続きを始めることができるのです。

したがって、自筆証書遺言の場合は、作成する時は、何ら手間をかけることなく、簡単にできてしまいますが、死亡した後で、相続人たちにひと手間かけてしまうことになるというわけです。



他人に作成してもらうタイプの遺言書の代表例が「公正証書遺言」です。

これは、法務大臣により任命される公証人によって作成される遺言書のことです。

公証人が遺言書の作成を希望する人から内容を聴取して、公正証書と言う形式で遺言書を作成します。

作成された遺言書は公文書として扱われるため、内容が無効とされる可能性は極めて低くなります。

また、原本が公証人役場に保管されるため、遺言書の偽造、隠匿の危険がありません。

一般的には、公証人役場に連絡して、指定された日に、赴いて、遺言書に書きたいことを述べなければなりません。

もしも、身体が不自由で動けない場合は、公証人に来てもらうこともできます。

ただし、公正証書遺言であっても、遺言者自身が意思表示できる状態でなければなりません。

民法にも、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。 」とされています。寝たきりでも、話すことができなくてもかまいませんが、自分の意志を正確に伝達できる必要があるのです。

また、公正証書遺言の場合は、結構な費用がかかります。

自筆証書遺言と違い、作成する時は、手間も費用もかかりますが、死亡した後は、検認の手続きを経なくても、公正証書遺言を基にして相続手続きができるので、相続人には手間をかけません。

最も安全で確実な遺言書です。



※参考条文 民法

(遺言の方式)
第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

(遺言能力)
第九百六十一条  十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
第九百六十二条  第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
第九百六十三条  遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条  遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
第九百六十九条  公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二  口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2  前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3  公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。

(秘密証書遺言)
第九百七十条  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2  第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
第九百七十一条  秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。

(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一  未成年者
二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。



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