初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 保証 2-27 平成22年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

1、保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
2、保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。
3、連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。ただし、主たる債務者が破産手続き開始の決定を受けた時、又は行方不明である時は、この限りではない。
4、連帯保証人が二人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくとも、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。


胡桃「これはまるで、平成一ケタ年代の問題みたいな出題だわね」
建太郎「ああ。簡単すぎるよな。こういう問題ばかりだったら楽なんだけどなあ」
胡桃「簡単な問題ばかり出るということは、合格ラインが上がるということよ40点。8割とっても合格できないかもしれないわよ」
建太郎「そりゃ困る!」

続きを読む

法定相続人に相続させたくない場合 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

特定の法定相続人に遺産を相続させたくないと考えることもあると思います。

例えば、

自分の面倒を見てくれない。あるいは、自分に対して虐待をする子供に財産を相続させたくない。

離婚協議中である配偶者に対して財産を相続させたくない。

といったような場合です。

このように考えていたとしても、何らの処置も取らずにいると、相続時には、法定相続人としてあなたの遺産を相続してしまうことになります。



それを防ぐための手段は二つあります。

一つは、遺言書で遺産分割方法を指定して、相続させたくない人を除いておくこと。

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺留分があることに留意する必要があります。

※参考条文民
遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

そのため、特定の子供や配偶者を除いて、相続分の指定をしたとしても、思い通りには行きません。

あなたが亡くなった後、遺産をもらえなかった者が、遺留分減殺請求をしてくるでしょう。トラブルが大きくなることは容易に予想できます。

なお、相続人が兄弟姉妹しかいない場合は、遺言書だけで、兄弟姉妹を相続人から排除することができます。

兄弟姉妹は、遺留分減殺請求をすることができないので、遺言書で覗いておけば、文句を言うことができないのです。

あなたの思い通りに遺産の行方を決めることができます。



もう一つ方法は、相続人の廃除を行うことです。

相続人の廃除とは、特定の法定相続人が、遺産を受け継ぐにふさわしくない非道徳的な人間であるということを家庭裁判所に認定してもらう制度です 。

廃除が認められると、その人は、法定相続分を主張することも、遺留分を主張することもできなくなるのです。

ただし、相続人の廃除は、その人の人格を否定するような制度ですから、よっぽどのことがない限り、認められません。

民法でも、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」とされており、これに該当するかどうかを家庭裁判所が慎重に判断することになります。

※参考条文民
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条  遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

相続人の廃除を行う方法は二通りです。

一つは、あなたが生きているうちに、家庭裁判所に相続人の廃除を請求する方法です。

生きているうちに、手続きを進めようとすると、何かと都合が悪いとか、身に危険が及びかねない場合もあるでしょう。

そのような場合は、遺言書によって廃除する旨、書き記しておくこともできます。

※参考条文民
(遺言による推定相続人の廃除)
 第八百九十三条  被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。


例えば、このように記載するわけです。



特定の相続人を廃除する場合の遺言書文例

乙山次郎(住所、生年月日)はこれを相続人から排除する。

乙山次郎は、常日頃よりギャンブルと酒におぼれている。遺言者のところに来て金銭を無心し暴力を振るうこともあった。また、遺言者の預貯金二千万円を無断で解約し浪費したこともあった。

このような行いからして、遺言者に対して重大な侮辱を加え、著しい非行があるものと考える。



ただ、遺言書によって廃除する場合は、遺言書が相続人によって発見されなければなりません。

自筆証書遺言の場合は、相続人が発見した後で、検認と言う手続きを経て、遺言書の内容が執行されることになります。

※参考条文民
(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

当然、廃除の手続きも、検認の後で進められます。

もしも、廃除の手続きに進むまでの間に、廃除しようとしている推定相続人が、遺言書を手に取ったらどうでしょう?

自筆証書遺言の場合、検認を終えていない段階では、遺言書はこの世に存在しないも同然です。

推定相続人が、破棄してしまえば、せっかくの遺言書が役に立たなくなってしまうのです。

もちろん、遺言書を破棄した場合、破棄した人は、相続人欠格事由に該当することになります。

※参考条文民
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

ただ、遺言書の存在を知っている人が、破棄した人一人だけだったとすれば、欠格事由も何もないわけです。

遺言書。とりわけ、自筆証書遺言によって、推定相続人を廃除することは、かなり難しいことであると考えたほうがいいです。

他の相続人にも、多大な負担をかけることになってしまいます。

どうしても、廃除したい者がいる場合は、遺言書ではなく、生前に手続きを行っておくのが確実です。


●実録行政書士開業十年シリーズ
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

バイト補助者からの成り上がり 実録行政書士開業十年
平成十五年の行政書士試験合格後、大学卒業と共に行政書士補助者となるも二か月で失業。
人生で最もどん底の時期を生き抜き、人脈、資金、営業経験ゼロの状態から弁護士と行政書士の合同事務所を設立し、現在、十周年を過ぎた行政書士の開業初期の実体験を記した手記。

食える行政書士になりたければネットも営業もやめよう 実録行政書士開業十年2
知名度、人脈、資金ゼロ、ホームページもSNSも持たず、営業も一切やらずに、毎年一千万以上の売り上げを達成し続け、開業十周年を迎えた行政書士の戦略とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方1 実録行政書士開業十年3
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり!
金、経験、人脈なしの最悪の状況から一千万以上稼ぐに至った行政書士だけが知っている孫子の極意とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方2 実録行政書士開業十年4
低価格を提示するのは、自分がバカだと世間に公示しているようなもの!孫子の兵法の経営戦略を忠実に実行すれば、行政書士で年間一千万以上稼ぐのは当たり前!金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士どん底で掴んだ極意とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方3 実録行政書士開業十年5
行政書士は食えない、役立たない資格。だからこそ、食えるのだ――。金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士が、孫子の兵法によって悟りを開き、たどり着いた境地とは?

宅建士試験過去問 権利関係 相殺 2-26 平成23年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し、賃料債権を有している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、Aの債権者CがAのBに対する賃料債権を差押えた場合、Bは、その差押え前に取得していたAに対する債権と差押えに係る賃料債務とをその弁済期の前後にかかわらず、相殺適状になった段階で相殺し、Cに対抗することができる。
2、甲建物の抵当権者Dが物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、Dの抵当権設定登記の後に取得したAに対する債権と差押えに係る賃料債務とを相殺適状になった段階で相殺し、Dに対抗できる。
3、甲建物の抵当権者Eが物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、その後に賃貸借契約が終了し、目的物が明渡されたとしても、Bは、差押えに係る賃料債務につき、敷金の充当による当然消滅をEに対抗することはできない。
4、AがBに対する賃料債権をFに適法に譲渡し、その旨をBに通知した時は、通知時点以前にBがAに対する債権を有しており、相殺適状になっていたとしても、Bは、通知後はその債権と譲渡に係る賃料債務とを相殺することはできない。


建太郎「むむっ……。この問題は難しくないか?」
胡桃「そうかしら?相殺に関する基本的な判例の知識を問う問題よ。確実に得点したい問題だわ。まず、相殺とは何かという点から見ていくわよ」

続きを読む

宅建士試験過去問 権利関係 債権譲渡 2-25 平成28年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

AがBに対する債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して特約の存在を対抗することができる。
2、AがBに債権譲渡の通知を発送し、その通知がBに到達していなかった場合には、Bが異議を留めない承諾をしても、BはCに対して当該債権に係る債務の弁済を拒否することができる。
3、AのBに対する債権に譲渡禁止の特約がなく、Cに譲渡された時点では、まだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合、その取引の種類、金額、期間などにより、当該債権が特定されていた時は、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。
4、Aに対し、弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議を留めない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払い請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。



胡桃「これも条文レベルの簡単な問題だわ。分かるわよね?」
建太郎「ああ。債権譲渡に関する問題だな」

続きを読む

宅建士試験過去問 権利関係 解除 2-24 平成21年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の三分の二の支払いと引き換えに、所有権移転登記手続きと引き渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、Aは適法に甲土地の売買契約を解除した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記が為されている時は、BのAに対する代金債務につき、不履行があったことをCが知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。
2、Bは、甲土地を現状有姿の状態でAに返還し、かつ、移転登記を抹消すれば、引き渡しを受けていた間に、甲土地を貸駐車場として収益を上げていた時でも、Aに対してその利益を償還すべき義務はない。
3、Bは、自らの債務不履行で解除されたので、Bの原状回復義務を先に履行しなければならず、Aの受領済み代金返還義務との同時履行の抗弁権を主張することはできない。
4、Aは、Bが契約解除後、遅滞なく原状回復義務を履行すれば、契約締結後、原状回復義務履行時までの間に甲土地の価格が下落して損害を被った場合でも、Bに対して、損害賠償を請求することはできない。



胡桃「これは条文レベルの基本的な問題だわね」
建太郎「えっ。そうなのか?よく分からない選択肢もあるけど」
胡桃「知らない選択肢があっても、基本を押さえていれば、正解がどれかは分かるはずよ」

続きを読む

法定相続人以外の者に遺産の一部を譲りたい場合 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

あなたが遺言書を書かずに亡くなった場合、あなたの遺産は、民法の定めに従い、法定相続人が相続することになります。

・法定相続人のうち、特定の者に対して、多くの遺産を譲りたい。

・後順位の法定相続人に遺産を譲りたい。

・相続人ではない人に遺産を譲りたい。

・自分が大切にしてきた思い入れのある物を理解してくれる人に譲りたい。

そうした願いを持っていたとしても、遺言書がなければ、願いをかなえることはできないのです。

もちろん、相続人の善意を信じるのならば、遺言書という形で残さずとも、口頭でこうしてくれと頼んでおくこともできなくはありません。

ただ 、あなたが亡くなった後、相続人が手の平を返してしまうこともありますし、葬儀や相続手続きなどで忙しくしている間に、ついつい忘れてしまうということもありえるでしょう。

譲りたい遺産がただ手渡すだけでよい少額の遺産であれば、問題ないかもしれませんが、不動産はもちろんのこと、自動車や宝石類、株式といったような高額のものになると、ただ手渡せばよいというわけにはいきません。

遺言書がなければ、譲渡の手続きをすることができなくて、結局、あなたの願いが叶えられないということもあるのです。



遺言によって、遺産の承継方法を定めることを遺贈といいます。

遺贈は、誰に対してもすることができます。必ずしも、相続人に対してなされる必要はないのです。

遺贈には二つの種類があります。

一つは特定遺贈。遺贈するべき物を具体的に指し示して定める場合のことを言います。

もう一つは、包括遺贈です。遺産を特定するのではなく、「遺産のうち、二分の一」といったような割合で定める場合です。

また、死因贈与という形で、特定の人に財産を譲ることもできます。

税金面では、遺贈も死因贈与も全く同じ相続税の対象です。死因贈与という名前ですが、贈与税を課されるわけではありません。

が、民法では、死因贈与を行うためには、贈与する者と譲り受ける者の契約ということですから、両者が契約を結んで事前に合意しておかなければなりません。

遺贈の場合は、遺言者の意思のみで有効になり、遺産を譲り受ける者の合意は 必要ありません。もちろん、受遺者が辞退することはできます。



特定遺贈の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

遺言者は乙山次郎(住所、生年月日)に、遺言者の次の財産を遺贈する。

1、丸太銀行丸太支店のすべての預金

2、土地(登記簿の記載どおりに明記)

3、建物(登記簿の記載どおりに明記)



包括遺贈の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

遺言者は乙山次郎(住所、生年月日)に、遺言者のすべての財産の弐分の壱を遺贈する。



※参考条文 民法

死因贈与
第五百五十四条  贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条  受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2  遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条  遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。

(受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄)
第九百八十八条  受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百八十九条  遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。
2  第九百十九条第二項及び第三項の規定は、遺贈の承認及び放棄について準用する。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(受遺者による担保の請求)
第九百九十一条  受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して相当の担保を請求することができる。停止条件付きの遺贈についてその条件の成否が未定である間も、同様とする。

(受遺者による果実の取得)
第九百九十二条  受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈義務者による費用の償還請求)
第九百九十三条  第二百九十九条の規定は、遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合について準用する。
2  果実を収取するために支出した通常の必要費は、果実の価格を超えない限度で、その償還を請求することができる。

(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2  停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条  遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(相続財産に属しない権利の遺贈)
第九百九十六条  遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。

第九百九十七条  相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
2  前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(不特定物の遺贈義務者の担保責任)
第九百九十八条  不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者がこれにつき第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責任を負う。
2  不特定物を遺贈の目的とした場合において、物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない。

(遺贈の物上代位)
第九百九十九条  遺言者が、遺贈の目的物の滅失若しくは変造又はその占有の喪失によって第三者に対して償金を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものと推定する。
2  遺贈の目的物が、他の物と付合し、又は混和した場合において、遺言者が第二百四十三条から第二百四十五条までの規定により合成物又は混和物の単独所有者又は共有者となったときは、その全部の所有権又は持分を遺贈の目的としたものと推定する。

(第三者の権利の目的である財産の遺贈)
第千条  遺贈の目的である物又は権利が遺言者の死亡の時において第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対しその権利を消滅させるべき旨を請求することができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

(債権の遺贈の物上代位)
第千一条  債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、かつ、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。
2  金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。

(負担付遺贈)
第千二条  負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条  負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


●実録行政書士開業十年シリーズ
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

バイト補助者からの成り上がり 実録行政書士開業十年
平成十五年の行政書士試験合格後、大学卒業と共に行政書士補助者となるも二か月で失業。
人生で最もどん底の時期を生き抜き、人脈、資金、営業経験ゼロの状態から弁護士と行政書士の合同事務所を設立し、現在、十周年を過ぎた行政書士の開業初期の実体験を記した手記。

食える行政書士になりたければネットも営業もやめよう 実録行政書士開業十年2
知名度、人脈、資金ゼロ、ホームページもSNSも持たず、営業も一切やらずに、毎年一千万以上の売り上げを達成し続け、開業十周年を迎えた行政書士の戦略とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方1 実録行政書士開業十年3
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり!
金、経験、人脈なしの最悪の状況から一千万以上稼ぐに至った行政書士だけが知っている孫子の極意とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方2 実録行政書士開業十年4
低価格を提示するのは、自分がバカだと世間に公示しているようなもの!孫子の兵法の経営戦略を忠実に実行すれば、行政書士で年間一千万以上稼ぐのは当たり前!金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士どん底で掴んだ極意とは?

食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方3 実録行政書士開業十年5
行政書士は食えない、役立たない資格。だからこそ、食えるのだ――。金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士が、孫子の兵法によって悟りを開き、たどり着いた境地とは?

宅建士試験過去問 権利関係 詐害行為取消権 2-23 平成20年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

AはBに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらず、B所有の甲土地をCに売却し、所有権移転登記を経たので、民法第424条に基づく詐害行為取消権(以下この問において取消権という)の行使を考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、対象となる詐害行為が行われた時点において、AのBに対する債権が発生済みでかつ履行期が到来している場合でなければ、Aは取消権を行使できない。
2、Cが甲土地の購入時において、この購入がBの債権者を害すべきことを知らなかったとしても、Bが売却時において、この売却がBの債権者を害することを意図していた場合は、Aは取消権を行使できる。
3、Bが甲土地の売却において、Cから相当の対価を取得している時は、Aは取消権を行使できない。
4、Aが取消権を行使できる場合でも、AはCに直接自分に対して、甲土地の所有権移転登記をするよう求めることはできない。



建太郎「ちょっと待て、この問題、宅建の問題なのか?」
胡桃「もちろん、宅建の過去問よ」
建太郎「詐害行為取消権なんて、宅建のテキストに出てきたっけ?」
胡桃「一般的なテキストには載っていないかもしれないわね。でも、民法の条文にざっと目を通していれば、目にしたことはあるはずよ。まずは、条文の確認からいくわよ」

続きを読む