初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 債務不履行 1-23 平成14年

AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1、賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張、立証すれば、免責される。
2、BがAの過失を立証して、過失相殺を主張した時、裁判所は、損害額の算定にその過失を斟酌することができる。
3、裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額を減額することができない。
4、Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張、立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張、立証をする必要はない。


胡桃「これも簡単な問題だわね」
建太郎「ああ。一瞬、債務不履行の問題だからって身構えたら、答え自体は、常識でも分かるような選択肢だからな」
胡桃「とりあえず、何を問う問題かは分かるわね」
建太郎「損害賠償の予定について問う問題だよね」


(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2  賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3  違約金は、賠償額の予定と推定する。
第四百二十一条  前条の規定は、当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定した場合について準用する。

建太郎「賠償額の予定を予め、定めておけば、実際に賠償請求をする時は、債務不履行の事実があったことだけを主張、立証すればよく、損害の額を主張、立証する必要はないというものだよね」
胡桃「そうね。そのことを理解したうえで1から見ていくわよ」
建太郎「1は、債務不履行の基本を問う問題だね。債務者に対して債務不履行の責任を問うためには、帰責事由が必要だという話だね」

債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

胡桃「そうね。逆にいえば、債務者としては、帰責事由がないことを主張、立証すれば、債務不履行責任を負わないということになるわね。次、2はどうかしら?」
建太郎「これは……、第四百二十条の条文に、『この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。 』とあるから、増減できないと考えるべきじゃないの?」
胡桃「でも、第四百十八条にはこうあるわ」

(過失相殺)
第四百十八条  債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

建太郎「賠償額の予定を定めた場合、過失相殺の規定は適用されるのかという論点なんだね?」
胡桃「そうよ。どう考えるべきだと思う?」
建太郎「うーん。裁判所が関与するならば、過失相殺を認めてもいいんじゃないかな?債権者に過失があったのに、債務者は予定通りに賠償額を支払うなんて不公平だろ」
胡桃「そのとおりよ。判例でも、損害賠償額の予定があっても、債権者に過失があった時は、特段の事情がない限り、裁判所は、損害賠償責任、及びその金額を定めるに付き、その過失を斟酌すべきである。とされているわ。覚えておいてね。次、3はどうかしら?」
建太郎「これは常識で正誤が判断できるよね。ここで暴利行為を認めていたら、民法第九十条が何のために存在するのか分からないよ」

公序良俗
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

胡桃「そうね。常識で分かるわね。一応判例だから覚えておいてね。損害賠償の額を予定した場合、裁判所は、その額を増減することができない。のが原則だけど、暴利行為として公序良俗違反になる場合は、賠償額の減額をすることができるとされているわ。次、4はどうかしら?」
建太郎「冒頭で述べたとおりだよね。損害賠償額の予定を定めた時は、当事者は相手方に債務不履行の事実があったことを立証するだけで、賠償額の請求ができる。損害の発生や損害の額を主張、立証する必要はない」
胡桃「そうね。簡単な問題だったわね。答えはどれかしら?」
建太郎「3だね」


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