初めての宅建士資格試験重要過去問

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宅建士試験過去問 権利関係 借家権 1-66 平成17年

動産の賃貸借契約と建物の賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取り壊し予定の建物の賃貸借及び同法40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、動産の賃貸借契約は、当事者の合意があれば、書面により契約を締結しなくても効力が生じるが、建物の賃貸借は書面により契約を締結しなければ無効である。
2、賃貸人と賃借人との間で別段の合意をしない限り、動産の賃貸借契約の賃貸人は賃貸物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負うが、建物の賃貸借契約の賃貸人は、そのような修繕を行う義務を負わない。
3、動産の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して契約期間を6か月と定めれば、その通りの効力を有するが、建物の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して、6か月と定めても、期間を定めていない契約とみなされる。
4、契約期間を定めた場合、賃借人は、動産の賃貸借契約である場合は、期間内に解約を行う権利を留保することができるが、建物の賃貸借契約である場合は、当該権利を留保することはできない。


胡桃「ごちゃごちゃと書いてある割には、簡単な問題よね。答えは一読しただけで分かるわ」
建太郎「うーん。そうだな。カッコ書きの借地借家法云々は、借地借家法を考慮しないという意味ではないんだよな?」
胡桃「定期借家契約に関する条文だと書かれているでしょ。それ以外の条文はもちろん考慮して解きなさいということよ。というわけで1から見ていくわよ」



建太郎「建物の賃貸借で、書面によらなければ無効なのは、定期借家契約だよな」

(定期建物賃貸借)
第三十八条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

建太郎「それ以外の一般の建物賃貸借契約は、書面によってすることは求められていない。もちろん、動産の賃貸借契約も同様だね」
胡桃「そうね。民法の条文でも、書面が必要だとはされていないわ。再確認しておいてね」

(賃貸借)
第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負っているんだよな」

(賃貸物の修繕等)
第六百六条  賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2  賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

建太郎「この規定は、賃借人に不利な規定ではないから、借地借家法でも特に修正はされていないよな」
胡桃「そうね。借地借家法の規定は、借地人、借家人を保護を厚くすることが趣旨だということを分かっていれば、動産の賃借人よりは、保護が厚くなるはずだということからしても、この選択肢が間違いだって分かるわね。3はどうかしら?」
建太郎「一年未満の借家契約は、期間の定めがない借家契約とされるんじゃなかったっけ?」

(建物賃貸借の期間)
第二十九条  期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
2  民法第六百四条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。

民法
(賃貸借の存続期間)
第六百四条  賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。

建太郎「それに対して、一般の賃貸借契約に関しては、『二十年を超えることができない』こと以外には、特に規定はない。動産に関して、6か月と定めれば、その通りの効力を有する」
胡桃「その通りね。次、4はどうかしら?」
建太郎「これはよく分からないんだけど、借家人から契約解除することは、特に不利な規定でもないから、問題ないんじゃないかな?」
胡桃「その通りよ。民法の次の規定を一読しておいてね」

(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
第六百十八条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

※(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日
2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「3だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限2