初めての宅建士資格試験重要過去問

解けなかったら合格できない重要過去問をピックアップしていきます

宅建士試験過去問 権利関係 相隣関係 1-38 平成11年

土地の相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。ただし、民法の規定と異なる慣習については、考慮しないものとする。

1、土地の所有者は、隣地との境界近くで建物を築造し、または修繕する場合でも、隣人自身の承諾を得た時を除き、隣地に立ち入ることはできない。
2、土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で界標(境界を表示するもの)を設置することができるが、その設置工事の費用は、両地の広さに応じて分担しなければならない。
3、隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は、これを竹木の所有者に切り取るように請求することはできるが、自分で切り取ることはできない。
4、他人の宅地を観望できる窓又は縁側を境界線から1メートル未満の距離に設ける場合は、目隠しをつけなければならない。



胡桃「これも簡単だわね。知っているか知らないかの問題だわ」
建太郎「だな」
胡桃「合格者なら、確実に得点する問題だから、この問題で失点したら、合格は遠のくわよ。まず、相隣関係はどういう趣旨の規定かということの確認からよ」



建太郎「相隣関係は、お互いさまの精神の表れじゃないかな。所有者と言えども、好き勝手にしていいわけじゃない。隣の人に迷惑をかけるべきではないということ」
胡桃「そうね。そのことが分かっていれば、常識で解ける問題だわ。でも、確実に得点するには、条文の知識を基にして解きたいものね。まず、1から」
建太郎「境界近くで工事するなら、止むを得ずに隣地に入らなければならないこともあるだろう。全く立ち入ることができないというのはおかしいと常識で分かるね」
胡桃「そうね。条文をチェックするわよ」

(隣地の使用請求)
第二百九条  土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

胡桃「この条文で確認しておきたいことは、隣地の使用は、『請求することができる』とされていること。それに対して、隣地所有者が承諾するかどうかは要件になっていないということね」
建太郎「そういえばそうだな。だとすれば、隣地所有者が断っても立ち入ることができると」
胡桃「そうよ。もちろん、実力で押し入ることはできないから、裁判所の許可を得る必要があるわ。それに対して、『住家』には、隣人の承諾がなければ、立ち入ることはできない。ということね」
建太郎「なるほど、1の選択肢は、隣地と住家をごちゃ混ぜにした出題だったのか」
胡桃「そうよ。2はどうかしら?」
建太郎「境界の設置は共同で平等の負担でするものだろう。広さに応じて分担なんて話は聞いたことがない」
胡桃「そうね。条文をチェックするわよ」

(境界標の設置及び保存の費用)
第二百二十四条  境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。

建太郎「あっ。なるほど、これもごちゃ混ぜの出題だったのか。境界標の設置及び保存は等しい割合で負担。測量の費用は土地の広狭に応じて分担と」
胡桃「そうよ。土地が広ければ広いほど、測量の費用がかかるんだから、当然のことよね。3はどうかしら?」
建太郎「これは有名すぎる話だよね。タケノコが隣の土地から侵入してきたら、勝手に収穫していいけど、枝は隣の人に切らせなければならない。この選択肢もごちゃ混ぜなんだな」

(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第二百三十三条  隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2  隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

胡桃「そうね。解説の必要もないわね。4はどうかしら?」
建太郎「これも条文のままだね」

第二百三十五条  境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2  前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

胡桃「この条文は、数字を押さえておいてね。『一メートル未満』と、『最も隣地に近い点から垂直線によって』の二つよ」
建太郎「OK」
胡桃「ついでに、一つ前の条文も押さえておきたいわ」

(境界線付近の建築の制限)
第二百三十四条  建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2  前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

胡桃「これも、『五十センチメートル以上の距離』の数字と、2項の但し書以下ね。『ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。』ということよ。但書の趣旨は分かるわね」
建太郎「建ててしまった物を取り壊すのは不経済だからだよな。請負契約の担保責任において、建物に関しては契約解除が認められていないのと同じ理屈じゃないか」

第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

胡桃「そうね。というわけで答えは?」
建太郎「4だね」



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→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係1

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係2

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 権利関係3

→ ライトノベル小説で学ぶ宅建士試験基本テキスト 法令上の制限1